訪問入浴ってどんな仕事?看護師の役割

 高齢社会に伴い寝たきりや認知症のお年寄りが増えてきています。老人施設は入所したくても入れない、待機が出ている状況。そのため、在宅でのケアの重要性・必要性は増す一方です。ホームヘルパー・訪問看護・訪問リハなど、在宅ケアの需要は高まり続けているのです。今回は在宅ケアのひとつ、訪問入浴について紹介したいと思います。

訪問入浴とは??

自宅の浴槽では入浴が困難な人に対し、自宅の一室に浴槽を運び入れ行う入浴サービスのことです。
完全な寝たきりの方や拘縮ある方でも、横になった状態で入浴することができます。

どんな仕事??

基本は看護師1人・オペレーター(入浴車の操作に関わる)・介護士の3人1組で行います。
移動入浴車での移動になり、1日4~8件の利用者宅を同じメンバーでまわります。1件にかかるじかんですが、利用者ごとに変わってきますが、だいたい約30分~1時間の訪問時間で行われます。
まず浴槽を自宅の中に運び入れ、お湯を準備します。
≪利用者宅の水道から入浴車まで水をく→入浴車でお湯を沸かす→浴槽へ入れる≫
といった感じで、入浴できる環境を整えます。

看護師の役目は入浴前のバイタルチェック。利用者の状態をみて入浴が可能かどうかを判断します。
事業所によっては、医師による指示書を準備していることがあり、これがあると血圧が高いときや熱があるときなど入浴を中止するか、判断するときに確認できますね。どうしても判断に困ったときはかかりつけ医へ連絡をし、確認することもあるそうです。
入浴中は、利用者の全身状態を観察しながら、洗身介助を行います。
入浴後はバイタルチェック・縟瘡の処置や軟膏塗布などを行います。着衣介助や片付けをみんなで行い、最後に訪問記録を書きます。

給料は??

正社員では25万~30万のところが多いようです。
時給では1500円~2000円。週1~OKのところもあり、自分のペースで働くことができそうですね。

実際に訪問入浴で働く看護師の話

私は以前急性期の病院で働いていましたが、人間関係に悩み、体調を崩し退職しました。看護師を続けたい気持ちがあり、いろいろと病院を探しましたが、また人間関係でうまくいかないのではと思い、なかなか復帰できずにいました。そこで訪問入浴の求人に目がとまり、電話をかけると、1回体験でやってみる?とのことだったので、実際の現場へ同行させていただくことになりました。そこでの利用者さんは、入浴の日を楽しみにしており、お湯に浸かると「気持ちいいわ~」と、ほんとに幸せそうなお顔をされていました。そんな利用者さんをみて、自分でも役に立てるんだと思いました。1回同行したことで職場のアットホームな雰囲気もすごく感じられました。同行してくれた看護師さんも優しく、熱心な方でした。私はその後、訪問入浴で働くことを決めました。
以前病院で働いていた時は、自分に余裕がなく患者とのコミュニケーションも足りなかったせいもあり、やりがいを感じられていなかったんだと思います。今では利用者さんの笑顔を励みに訪問入浴で働きもうすぐ1年がたちます。

どんな人に向いてる??

体力はあるにこしたことはないですね。看護業務だけでなく、自宅内に浴槽を運んだり、患者を浴槽まで移乗させたり、衣類の着脱も3人で分担して行うのも仕事のひとつです。
チームで働く仕事なので、協調性は大切になってきます。
実際の話でもあったように、1度は看護師辞めたけど、できれば復帰したいという人。在宅での看護は、利用者との距離が近くやりがいを感じやすいようですね。